ミャンマーで最も古い伝統のひとつ 〜ベテル・チューイング(Betel chewing)〜

2018-11-02edit Pam

Betel-chewing (Source: wikimedia)
ミャンマーは深い伝統と文化に彩られた国です。そして、ベテル・チューイングは、古代からミャンマーで重要な役割を果たしてきました。

ベテル・チューイングまたはクンヤ(Kwun-ya)の歴史

Betel-chewing (Source: McKay Savage)
ミャンマーでは有史以前のはるか昔から、ベテル・チューイングが使用されてきました。それは、王朝時代の王室においても、重要な独自性のひとつと見なされていました。ベテル・チューイングは、主にインド、マレーシア、インドネシア、カンボジア、ベトナム、タイ、そしてもちろんミャンマーを含む東南アジア諸国で使用されています。国や伝統に応じて、ベテル・チューイングの名称はさまざまで、中に包むものもわずかに異なります。人々は、ベテル・チューイングは息をスッキリさせるのに効果的だと信じています。しかし、ベテル・チューイングには中毒性があって、後には口腔衛生上の問題も起こり、重度の症例では口腔がんにまで至るという研究や実証が多数あります。昔は、女性や少女たちがベテルを噛んで、おしゃれのために唇を赤く染めていました。

クンヤとはどんなもの?どうやって噛むの?

Betel-chewing (Source: wikimedia)
ミャンマーでは、ベテル・チューイングのことをクンヤと呼びます。クンヤは、ミャンマーの農村部と都市部の両方で広く行われ続けていて、ヤンゴンやマンダレーなどの都市でも、クンヤのカスである赤い汚れが、舗道に散っているのが見られます。
この人気のある伝統的な嗜好品をたしなむことは、ベテル・チューイングと呼ばれていますが、これは単に噛むだけではありません。クンヤを口に入れてガムのように噛んだり、スナックのように食べたりすることはできません。正しいやり方なら、ひとつのクンヤで1時間は保ちます。クンヤは口の中に入れたまま、噛むというよりも噛み砕いて汁を吸い出してから、その汁を吐き出します。それが舗道で見た赤い汚れになります。これらの赤い汚れのため、シンガポールなど東南アジアのいくつかの国は、非常に厳しい法律と規制でクンヤやベテル・チューイングを禁止しています。ミャンマーでもクンヤの禁止に取り組んでいる多くの組織的な活動がありますが、それでも何世代にも渡って実践されてきた伝統と文化は、簡単に一瞬のうちに消えてしまうことはありません。実際、多くの人々は、キンマの葉を伝統的な薬や治療に不可欠な原料として信じ、受け入れています。また、ベテル・チューイングは息をスッキリさせるなどの点で、幾分は健康に良いと、まだ多くの人が考えています。
ビンロウジュを噛むと、少ない量ではカフェインやニコチンと同様の刺激作用が起こり、多量を用いると心拍数上昇、高血圧、瞳孔散大、不安、不眠症、不整脈などのコカインに似た刺激反応が起きます。クンヤはミャンマーで最も古い伝統と文化のひとつであるため、ミャンマーを訪れる際には試してみるべきですが、常習してはいけません。さもないと、歯の汚れや、歯や歯茎の損傷、さらには口腔がんなど、多くの口腔衛生上の問題につながるでしょう。


クンヤの種類と中に入っている材料は?

Betel-chewing (Source: Paul Arps)
クンヤはキンマの葉で材料を小さく巻いたものです。その中の材料は種類によって少しずつ違い、アイスクリームのフレーバーのように、さまざまな種類のクンヤがあります。基本的にすべての種類のクンヤには、巻くために使うキンマの葉、刻んだビンロウジュ、石灰(水酸化カルシウム)が含まれています。ミャンマーの地域によって、さまざまな種類のクンヤがあります。一般的にヤンゴンでは、市内の隅々にあるキンマの売店や、または行商人が売るクンヤでも8種類はあります。

Betel-chewing外国人や初心者の方には、「A Seint Yoe Yoe 」や「Kwun-ya Ah Cho」などの種類がおすすめです。薬物が含まれていないので、飲み込んでも安全です。
どのような味で、何が入っているか上記のふたつの種類でいえば、「Kwun-ya Ah Cho」にはココナッツジャムが入っているため甘みがあり、「A Seint Yoe Yoe」にはみじん切りのフライドココナッツが入っていて、ナッツのような味がします。両方とも多くのスパイスが入っているので、もちろん、とってもいい香りがします。
これらのふたつ以外は、タバコのような薬物を含み、めまいを引き起こす可能性があります。クンヤには「Nut Say」として知られる重要な材料もあり、それはタバコの葉、ハチミツ、アルコールを混ぜてしばらくの間置いておくとできます。「Nut Say Yay Own Tee」や「Nut Say Yoe Yoe」「Nut Say Yay Ba Yin Ma」「Nut Say Yay 92」には、Nut Sayやその液体が含まれます。四つのうち、後のふたつには、エフェドラ、ガラナなどの薬物がさらに含まれ、最初のものにはココナッツのみじん切りが含まれています。
また、伝統的な「Burma Say」は、キンマの葉、みじん切りのビンロウジュ、石灰(水酸化カルシウム)、タバコなどの基本的な材料を使用したクンヤのクラシックバージョンです。クンヤの愛好者によると、「Seganal Kwun-ya」はヤンゴンやマンダレーのような都市部で広く消費され、「Burma Say」は依然として農村部で欠かせないもののようです。

日常生活におけるクンヤの役割

Betel-chewing (Source: Christopher)
クンヤの価格は、パッケージひとつにつき、わずか100チャットと非常に安いですが、雨期や寒い季節には、キンマの成長が雨と寒さの影響を受けるため、やや高くなる場合があります。しかし、低所得者はひとり1日あたり約800チャットを消費し、1日の賃金の大部分をつぎ込んでいます。たぶんこれが、「ベテルを撲滅しよう」などのキャンペーンにもかかわらず、ミャンマーでこの商売が今も存続している理由でしょう。政府や他のNGOは、ベテル・チューイングを禁止するか、税金を引き上げて、遠くない将来に口腔がんにかかったり死に至ることもあるというベテル・チューイングの影響についての教育を広め、少なくとも消費を減らそうとしています。
そうはいうものの、これらすべてのベテル・チューイングは、確かに祖先によって受け継がれた最も古い伝統と文化のひとつです。ですから、歴史的に用いられてきたように、化学物質なしで、自然な健康的なやり方で続けていくべきです。そして、もちろん、あちらこちらに赤いカスを吐き出すのではなく、規律に従う必要があります。

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