ドーナ山脈の山頂から眺めるムーラエイ山

2019-07-30edit Htoo



カイン州に旅行するなら、ドーナ山脈が外せない目的地の1つであることは間違いない。でも、ドーナ山脈の高峰の一部であるムーラエイ山は忘れられてしまう。平和とは言えない環境、交通機関の不便さ、訪問者が少ないことなどが理由で、ムーラエイ山は旅行者や観光客に忘れられた存在となってしまった。このような不便のせいで、ムーラエイ山には近くに住むごく少数の人々が訪れるのみだ。
僕に関して言えば、ムーラエイ山についてはその名前くらいしか知らなかった。「ムーラエイ山はドーナ山脈の最高峰の一つである」ということを去年ようやく学んだ。この山のことはタイの旅ブロガーの記事を通して知ったから、正直、不思議な気分だった。ムーラエイ山は多くのタイ出身ブロガーの間でかなり親しまれているというのに、そのことを知らなかったのだ。そんなに美しい山があると知らなかったなんて恥ずかしいと思い、僕はすぐにある決断した。好奇心いっぱいに、ムーラエイ山を探索するための計画を始めたのだ。
まず、旅に向けて色々と情報取集していたのだけれど、友達のうちの一人が同じ山に行く計画を立てていると知って一緒に行くことになった。その後結局、合計5人のグループでムーラエイ山に向かおうということになった。
ちなみに、途中で奇妙なことに気づいた。長い間、実はこの山を登ることが自分のウィッシュリスト(TODOリスト)に入っていたんだけど、このウィッシュリストに書いた山がムーラエイ山のことだとすぐに気づかなかったのだ。僕は時々忘れっぽいところがある。

前置きが長くなってしまった。さて、ムーラエイ山への旅日記を始めよう。


ムーラエイ山について

ムーラエイ山は、カイン州で最も標高の高いドーナ山脈の最高峰の一つに位置すると考えられており、現地の人々や多くの調査によると海抜6578フィートとされている。ウィキペディアの情報によると、より標高の高い山がメルラという別の山脈にあり、そちらは海抜6824フィートとのことだ。カイン州のタンタウンジーという地域にもナット山という山があり、上で紹介した2つの山よりも標高が高い。海抜8605フィートだ。それでも、ムーラエイ山がドーナ山脈の最高峰の一つであることは間違いない。


ドーナ山は、カイン州のキャル・イン・サテ・ジー町にある。山の頂上からはタイのメルスアウトという町が一望でき、それがタイの旅ブロガーたちの間で人気を博した理由になっていると思う。山頂には、仏の髪の毛から作られた「カイテ・ム・ラ・エイ」というモン族の言葉の名前がついたパゴダ(ミャンマー様式の仏塔)がある。ビルマ語で「永遠の象徴として有名なパゴダ」とも呼ばれている。
ムーラエイ山は、ムーラ一イット山、ミャタイラー山、ライット山といった名前でも知られている。さらに、地元の人々の情報によると、ムーラア山の頂上にも別のパゴダがあるが、とても離れたところにあるため、そちらには利用可能な交通手段がない。

ムーラエイ山への行き方は?


ムーラエイ山に行くには2つの方法がある。徒歩か、ミアワディ市から車で行くかのどちらかだ。僕は行き帰り含めた全行程を自分の足で歩きたかったのだけれど、友達の一人が怪我をしたので、下山の際には選択肢がなく車を使った。そういうわけで、これからムーラエイ山に登る道の歩道と車道、両方に関する情報をお伝えしようと思う。


ムーラエイ山は車でミアワディ市からアクセスできる。しかし、一つ気をつけなければならないのは、未舗装で荒い土の道路しかないということである。山の中の曲がりくねった道も、一方踏み出せば危険な思いをすることもある。山頂に着くまで約5時間かかり、降りるのにさらに5時間かかる。
ミアワディ市から近い1つ目の村へ行く道は、ルート全体の中ではそれほど悪くはない。しかし、その村を過ぎた後、道路が非常にほこりっぽくなり、砂ぼこり以外何も見えない状態になる。顔や体をしっかり覆う服やスカーフを準備しておくことが重要だ。僕がこれまで行ったことがあるどんな場所より砂ぼこりのひどい場所だったといっても過言ではない。
僕たちは、昼食をとるために近くの村に立ち寄り、しばらくそこで過ごした。現地の人々に、山に登る前に絶対にお風呂に入ったほうがいいと言われた。これはどうやら地元の人々が熱心に信じ続けていることらしい。そういうわけで、ミアワディにある村と山のふもとにあるもう一つの村、合計2箇所に休憩できる場所がある。
僕たちはこの地域の機関から車を借りなければならなかった。この機関に登録されていない車は山で運転することが禁止されていたので、そうするしか選択肢がなかった。旅程全体で1000バーツ(ミャンマー・チャット(MMK)では約40000チャットから50000チャット)かかった。この他に、ミアワディから車を借りて山のふもとの村へ行き、そこから別の車に乗り換えて山頂を目指すという選択肢もある。ミアワディからムーラエイまでの交通サービス機関へは、09782113265 または 09450342729 で問い合わせることができる。
徒歩の旅行者は、山頂までたどり着くのに16時間、おりるのに10時間ほどかかるだろう。さらに、自転車で山のふもとに着くまでにおそらく約3〜4時間かかる。歩いて山に登りたいと考えている人のために、僕の徒歩での登山体験を共有する。

ムーラエイ山のふもとまでの行き方

徒歩で山に登る場合は、まずコルトカヤテの町に行かなければならない。そこからコルトカヤテ – アジアロードに直行し、左折してカ・ミネ・コネ村に着く必要がある。 その村の入り口を示すウェルカムサインが見えてきたら、正しい道を進んでいるということだ。
前述したように、バイクや4輪車で山のふもとに行くには3〜4時間かかる。自分の車でそこに行くことはおすすめしない。そもそも自分の車で山をのぼることは許可されていない。正直なところ、道は非常に荒くてほこりっぽく、時々小川も渡らなければならない。小川のいくつかにはバイクでギリギリ通れるくらいの幅の小さな橋が架かっていることがあるけれど、小川に橋が架かっていないところもあるので、そういう時は小川の中を運転して先に進む必要がある。
もし自転車に乗る場合は、プロになったつもりで安全に運転してほしい。道が非常にほこりっぽいので、顔を適当なマスクで覆いヘルメットを着用することを忘れずに。山をのぼり始めてからオートバイや車のハイヤーサービスを見つけるのは難しいので、利用可能なサービスに事前に連絡しておくのが最も良い方法だと思う。
山のふもとまでの地域は「DKBA(民主カレン仏教徒軍)キャンプ」として知られていて、多くのカレン族が住んでいる。彼らのほとんどはミャンマー語を話せないけれど、もしあなたがムーラエイに行きたいと彼らに伝えれば、道案内してくれるだろう。僕自身もそこでDKBAキャンプに遭遇したが、ムーラエイに行くと伝えれば、彼らは受け入れてくれる。その場合、それほど問題は発生せず、何も心配する必要はない。
山のふもとにある村に着いた時には、午後2時くらいになっていた。ほこりだらけの道を思い切り通り抜けてきたので、その村で風呂に入って休憩しなければならなかった。そして、3時20分ごろ登山を始めた。

ムーラエイ山の登山ルート



ムーラエイ山は海抜6578フィートに位置しており、頂上に到達するには約33の山を登らなければならなかった。上で述べたように、登山に16時間、下山に11時間かかる場合がある。 登るには相当のスタミナが必要だ。登山ルート沿いに3つの修道院がある。

1つ目の修道院

山のふもとから最初の修道院に到達するまで約4時間かかる。山に登り始めた時には、小川を渡ったり自然や風を楽しんだり、かなり楽しかった。しかし、30分以上経過すると疲れを感じ始めた。 ただ、休憩できる竹のベンチがあるので、それほど疲れなかった。
道の途中でたくさんのバナナを保管している休憩所がある。お坊さんと子犬がそこに住んでいて、いくらか寄付をすることで好きなだけバナナを手に入れることができる。僕たちが子犬に餌をあげると、そのあと登山ガイドのように たちと一緒についてきた。
この頃までに曇り空がどんどん暗くなり、懐中電灯の助けを借りながら最初の修道院に駆け込んだ。 到着したのは8時頃だった。 その日は夕食を食べて寝た。

2つ目の修道院



朝4時頃に起きようと計画していたが、目が覚めるとすでに太陽が昇っていたので寝過ごしたと気づいた。その後、登山を続け、最初の修道院から2番目の修道院にたどり着くまでに3時間半かかった。
登山道は訪れる人々のためにわかりやすく作られているので、迷子になる心配はない。 しかし、この辺りの地点から太陽の光が入ってこなくなり、感じることができるのは暗い森と木だけ、といった状態になる。 休憩用のベンチもこのあたりから見つけるのが難しくなってくる。
2番目の修道院に到着する前に、山から音楽が聞こえてきた。 この近くには、山の美しさを堪能できる最高の絶景ポイントがある。 ここで必ず素晴らしい写真を撮ってほしい!
2番目の修道院に着いたら、もう山の中間地点だ。2番目の修道院は海抜約3200フィートにある。 そこでいろいろと雑用をしてから、昼食をとった。

3つ目の修道院

最後の修道院にたどり着くまでさらに時間がかかる。僕の場合は約5時間かかり、シンピュータウンという名前のパゴダを拝むことができた。午後の太陽が照りつける時間帯に森を歩き続ければならないのはタイミングが悪かった。暑さを乗り切り、別の絶景ポイントに到達した。そこには電波塔がある。そこから1時間歩き続け、ようやく3番目の修道院に到着した。
この3番目の修道院までは交通機関が通っており、近くにいくつかショップもある。これらのショップ、山の上にあるからといって侮るなかれ。様々な商品を手に入れることができる。なんとタイバーツも使うことができるのだ。


ムーラエイパゴダとムーラエイの山頂


3番目の修道院から山頂までははっきり見渡すことができるくらいの距離なのだが、僕たちは疲れていて、実際に山頂に到着するまで2時間もかかってしまった。ここはすでに道路が舗装されているため、車で行くことができる。たくさんの店舗や立派な家などが並ぶそのエリアに僕たちが着いたのは、夕方5時くらいのことだった。僕たちと同じように多くの人が歩いてトレッキングに来ている様子を見て、とても嬉しかった。ここでしばらくおしゃべりして、またその先へ歩き続けた。

僕たちは登山ルートを進みながらどんどん興奮が高まっていき、「山頂に着いたらそこの水で入浴しよう」と決めた。しかし現地で働く人たちが教えてくれたのは、山頂の水は本当に冷たいため5日に1回くらいしか入浴しないということだ。「私たちの言うことが信じられないなら、実際に水に触れてみなさい」と彼らは言った。その言葉通り、山頂の水は凍りつくような冷たさで、結局僕たちは顔、手、足だけ洗ったのだった。
日没前に山頂までたどり着いた。ムーラエイ山の頂上の美しい景色と夕日を楽しむことができた。そこでは、パゴダに建てられた鉄の手すりが振動する小さな音さえ聞こえる。それくらい寒かった。僕たちはお祈りを済ませてからコミュニティホールに戻り、ベジタリアンの食事をいただいた。



はじめはタイのブロガーがよくやるようなキャンプテントに泊まることを計画していたのだが、残念ながらテントを持ってくるのを忘れており、それにキャンプ場を見つけることもできなかったのでキャンプはあきらめなければならなかった。タイ人ブロガー数名に尋ねてみたところ、彼らは全行程を歩いて登るのではなく、ミアワディをスタート地点にして山頂を目指したとのことだった。その後、彼らは別の丘の中腹まで行き、僕たちの知らない山の尾根に沿ってくだっていった。そこにキャンプ場があったらしい。コミュニティホールの裏から降りることもできると彼らは言っていた。しかし、 僕たちはそこまで行く時間があまりなかったので、キャンプはまた別の機会にすることにした。


山頂では、2つの崇高なパゴダと仏像を探索できる。女性は最初のパゴダにしか入れないようになっている。その先のパゴダは女性の入場が許可されていない。仏像とムーラエイ塔はすべての人が見ることができ、他にもいくつかパゴダが山の尾根のそばに見える。
金曜日の夜にヤンゴンから「ミアワディ・エクスプレス」に乗り、コルトカヤテとアジアフィーダーロードで下車した。それから僕はパアン出身の友達に会い、朝10時ごろにコルトカヤテから出発した。 僕たちは最初の夜を1つ目の修道院で過ごした。
2日目には頂上に着き、日没と日の出の両方を眺めて輝かしい勝利のひとときを味わった。現地の人は、運が良ければ、息を呑むほど美しい雲海が日の出の間から見えると言っていたが、残念ながらそれを見ることはできなかった。 徒歩で降りる場合は、その日のうちに下山することはおそらくできないため、ゆっくり滞在しながら時間をかけて下りることをおすすめする。
友人の一人が負傷したため、日曜日の朝に車で山のふもとまで戻った。 僕にとってはムーラエイを十分体験できたと思っているので、これで満足だ。

ムーラエイ山に関する注意事項

(1)山のふもとから頂上に向かう途中では、旅行者は肉を持参したり食べたり、アルコールを含むあらゆる種類の酒を飲んだりすることはできない。修道院やタング・ヘタケという慈善団体がチャリティでベジタリアン料理を提供しているので、食べ物について心配する必要はない。でも、登山の途中で小腹が空いた時に食べられるようなスナックは持参したほうがいい。

(2)男性と女性が登山中など公の場で手をつないではならない。夫婦は互いに対して忠誠を誓わなければならない。森の向こう側に修道院があるので、言動に気をつけて過ごそう。

(3)持参する衣類は少なければ少ないほど良いが、もちろん選ぶ服はちゃんと自分を暖かく保てるようなものでなければならない。登山中は脱ぎ着しやすい服を着ることをおすすめする。でも、女性は露出のない適切な服を着るようにしよう。

(4)間食用のスナックと水フィルターを持参しよう。生水よりも、水フィルターを通した水を飲む方がもちろん安全だ。ウェットティッシュ、手指の消毒剤、絆創膏もいくつか持っておこう。

(5)チャリティーを見つけた時はお金やモノを寄付するようにしよう。このようなチャリティーは現地の人々によって設立され、24時間年中無休で食事や必需品を持つ人々を支援している。

(6)言うまでもなく、この山に登るには十分なスタミナが必要だ。山に行く前に自分でトレーニングしておこう。定期的にウォーキングしよう。高齢者や心疾患のある人は必ず車で行くことをおすすめする。

(7)携帯電話の電波は圏外になる。現地の人には「MPT SIM」は使えると言われていたが、 僕のMPT SIMは登山の途中で使い物にならなくなってしまった。タイのSIMなら電波が入るかもしれない。ミャンマーのSIMは、山のふもとの村の近くでさえ圏外になる。

(8)写真撮影をする人は、カメラが必要な場合は予備のバッテリーを、カメラを充電する必要がある場合は適切なモバイル充電器を用意しよう。

(9)最後になったが、規律をしっかりと守り、適切に振る舞おう。ごみは必ず片付けよう。ごみを持ち帰りたくない場合は、燃やすことができる。しかし、その場合は、そこを去る前に確実に火を消そう。それから、近くに生えている植物や花を破壊してしまわないようにしよう。みんなの自然を、安全に守ろう。

ムーラエイ山からの手紙

これを読んでいるみなさんはこれ以上ムーラエイ山のことを読むとストレスを感じ始めるかもしれないので、そろそろこのあたりで締めくくろうと思う。ムーラエイ山は現在ミャンマーの人々の間でもそこまで知られていないけれど、仏教徒にとって本当に宗教的に重要な場所なのである。ムーラエイ山は、自然を愛する人や、リスクを冒してでも冒険するのが好きな人にとって本当に素晴らしい場所だ。山に登る際には注意事項や厳格なルールに敬意を払い、しっかりと守ろう。僕のような若者たちには、今回ご紹介したような刺激的で冒険に満ち溢れた最高の旅の経験をぜひしてほしい。もちろん、出発する前にはいくらかトレーニングをしよう。 最後に、ムーラエイ山の旅は体力的にきついこともあるし、冒険でいっぱいなので、山で夜を明かして休憩する必要があることを念頭に置いておこう。みなさんに、ムーラエイ山に行く機会が近いうちにおとずれますように!








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