タザウンディン・フェスティバル(The Tazaungdaing Festival) -タザウンモンの月(11月)に開かれる光の祭り-

2019-11-12edit Lapyae

雨期の終わりを告げる季節になりました。タディンジュの灯祭りの後からは数か月間お祭りが続くフェスティバルシーズンになります。ミャンマーには年間12のお祭りがありますので、祭り好きな国民と言われるのも納得。光や音楽、ショーなどを使ってお祭りを祝います。3週間前のタディンジュ祭りで使ったランタンや装飾がまだまだ使える状態なので祭りの準備も簡単。家族や友達みんなで集まってするお祭りの飾り作りも醍醐味の1つです。

ビルマ暦のタザウンモンの月(11月)に開かれるタザウンディン・フェスティバルも光のお祭りとして知られています。仏教信仰が始まる前からあった土着のお祭りで、元々は仏教色の無いものでした。このお祭りは仏教以前には、宇宙の創造神であるカッティカをお祝いするカッティカ・フェスティバルとして書物に残されています。実際にタザウンディン・フェスティバルは仏教以前に始まったものですが、仏教信仰が浸透した現在でもなおとても重要なお祭りとして続いています。

タザウンモンの月(11月)は修道僧たちに新しいローブを提供するのに一番適しています。ちなみに、ローブをいつ修道僧に渡すべきかという決まりは特にはありません。いつでもどの修道僧にでもローブを提供していいのですが、この月に行うのが一番タイミングが良いと言われています。この月には、修道僧たちは何か月にも及ぶ出家遁世を終えて家族や師に会いに行く準備をします。この時期やっと移動することを許されるのです。そのためこの時期に、ローブやその他の物を寺院に向けて提供します。こうすることによってちゃんと必要な人に新しいローブが渡されるのです。一般に寄付は個人の思いによって直接修道僧に渡しますが、仏教の教えでは、寺院全体に向けて寄付を行うことが成就に繋がるとされています。

寄付品は各コミュニティーの間で、現金や物などを出し合ってオーガナイズします。タザウンディン・フェスティバルの時期になると、通りや市場に木で作られた三角形のものが立っているのをよく目にします。それらには黄色いローブやタオル、コップ、石鹸などの寄付品が吊らされています。寄付品の量は特に決まっていません。こういった寄付品が吊り下げられている三角のものは“パデタツリー”(pa-de-tha tree)と呼ばれます。
 “パデタツリー”にまつわる面白いお話を読んだことがあります。この世の始まりの時に、人が望むものすべてを生み出すパデタツリーがありました。お腹がすいたら人は1日に一度食事をすればいいのです。でも人は必要以上なものを欲しがる生き物です。一人の人が欲張ってもっと取ったら、他の人達もそうするようになってしまいました。そしてついにパデタツリーは枯れ果ててしまいました。それ以降人は自分の汗だけを飲んで生きて行かないといけないのでした。でも、一年のこのお祭りの時にだけ、枯れてしまったパデタツリーが蘇ったというお話です。
もう一つ有名なカテイン式典(寄付の儀式)として、織りたてのローブを贈る催しがあります。“織りたて”というのはつまりローブが古くなってはいけないという意味ですが、たった一晩でローブを織り上げてしまうのです。この催しは農村部でも都市部でも行われています。一番早く、そして美しい色合いで織られたローブが一等賞となります。日暮れから翌日の夜明けまでかけて行われます。そして仏陀とその寺院に贈られます。このように、タザウンモンの時期はミャンマーの一年で最もすばらしいお祭りシーズンとなっています。

以下にてタザウンモン月の美しい風景を詠んだポエムをご紹介します。

                Yellow robes for kathina offering, (カテイン式典の黄色いローブ)

                the reward of the Path is the aim. (仏教道に終わり無し。)

                At this time, scattering the pollins, (花々は咲き誇り)

                the luffa at the end of its gold stem (へちまの花は薫り高く金色に輝く。)

                is rich in fragrance. 

                Amid the sky 

                in heavens above (空の向こうには天国)

                the golden moon Canda (そして金色のカンダの月)

                and the brilliant star Pleiades 

                shine merrily.  (誇り高きプレアデス星団が光り輝く。)


最後に、このすばらしいポエム(オリジナル、ミャンマー語)の作者のPo Thudaw U Min氏、ポエムの英語版翻訳者のMaungTha Noe氏に感謝の意を表したいと思います。また、今回の記事はDaw Khin Myo Chit氏著のFLOWERS AND FESTIVALS ROUND THE MYANMAR YEARを参考にさせて頂きました。

この記事を気に入っていただけましたか?
MingalaGOユーザーのアカウントをお持ちの場合は、マイページにブックマークを追加することができます。

レビュー


タザウンディン・フェスティバル(The Tazaungdaing Festival) -タザウンモンの月(11月)に開かれる光の祭り-
0 / 5 (0 ユーザーのレビュー)
口コミ情報

一番乗りで口コミ投稿を残しませんか?

会員ログインして口コミを投稿

口コミを投稿するは、会員ログインまたは会員登録してください。

すでにMingalaGoアカウントはお持ちでしょうか?

personログイン

MingalaGo ユーザーのアカウントを取得!

person会員登録