ヤンゴン環状線 〜低コストでミャンマー最大の都市を探検する旅〜
2018-08-21edit MyoMinThuヤンゴン(旧名称ラングーン)はミャンマー(旧名称ビルマ)の最大の都市で、2006年に政策により国の真ん中に位置するネピドーが首都と制定されるまで、長い間ミャンマーの首都として栄えてきました。今でも、ミャンマーの経済を支える重要な都市で、地方からの出稼ぎ労働者が多くヤンゴンで働いています。都市が大きければ大きいだけ、公共交通機関の充実は要になります。今回はミャンマー環状線についてご紹介致します。
ヤンゴンでは、人々は収入に応じて使用する交通機関を選んでいます。タクシー(一番快適ですが、もちろん値段も一番高額)を使う人、バス(便利且つリーズナブルな値段で利用できる反面、いつも混雑している)を使う人、水上バス(停車駅が非常に限られてはいますが、空いている)を使う人、そして電車(運賃は最安で混雑もしていない)を使う人です。近年、都市部の道路は通勤・帰宅ラッシュの時間帯を中心にバス、タクシー、そして車で非常に混雑しているため、ヤンゴン環状線が最注目されています。
ヤンゴン環状線の歴史
イギリス(大英帝国)植民地時代の1877年にヤンゴン鉄道とヤンゴン・セントラル・ステーションが開設されました。それまでヤンゴンの人々の交通手段といえば、陸上では車、人力車、そしてバス、水上では船やボートが主なものでした。イギリス軍が南下してくるに従って、鉄道と列車の整備が進められていきました。ミャンマー独立後の1954年以降、ヤンゴン環状線は複線路線へと改良されました。
2011年6月に、鉄道省は財政難から国営であったヤンゴン環状線を私営化すると発表しました。1月あたりの操業費は260万チャット(325,000USドル)でしたが、利益は42万チャット(52,500USドル)と、まさに赤字運転の状態だったからです。この背景には、鉄道を利用する人々の多くは貧困層から中間層であったため、すべての人々が運賃を支払える金額設定にしなくてはいけないという事実がありました。以前は外国人には、1USドルにするという外国人運賃・料金が適応されていましたが、それも2014年に廃止されました。現在の運賃は外国人でもたった100~200チャット(約10~20USセント)です。
ヤンゴン中央駅
ヤンゴン中央駅は1877年にイギリス軍にて建設されました。第二次世界大戦では、ミャンマーの中心であり物資移送の要であったこの駅は、旧日本軍の砲撃の最大のターゲットでした。このことから、1943年にイギリス軍は撤退に向けて旧日本軍の侵略を抑えるため、駅自体を破壊しました。
現在のヤンゴン中央駅は1947年に伝統的ビルマ式建築方にて再建されたものです。1954年に総工費4.74万チャット(約33万円/2018年9月現在)の再建工事は完了し、同年6月5に開通式が大々的に執り行われました。
ヤンゴン中央駅は1996年に国内最大の歴史的陸標と制定され、ミャンマー最大規模の駅となりました。場所はヤンゴンの中心部、ヤンゴン北部のパンソダン・ストリートに位置します。
ヤンゴン環状線を体験
ヤンゴンの町並みを見るにはヤンゴン循環鉄道に乗車するのがお勧めです。現地の人々のライフスタイルや毎日のルーティン、中心部から離れた風景を身近に感じることができます。それだけではなく、ミャンマーの中心地を珍しい旧型の鉄道に揺られながら旅をするという貴重な体験もできます。全ての車両は各国から譲渡されたもので、そのほとんどが日本からのものです。椅子は硬く、扇風機がきちんと動いているものは少ないのですが、それがまた情緒ある独特の雰囲気を作り出しています。
毎日平均して100,000~150,000人の学生、労働者、会社員、呼び売り商人、僧侶たちがこの鉄道を使用し、各々の目的地へと向かっています。線路のそばにはたくさんの売り子たちが集い、フルーツ、タバコ、花、お菓子、飲み物、新聞や雑誌などを売っています。鉄道のスピードはとても遅いので、動いている車両に飛び込む人の姿を見ることもあるでしょう。
商業エリアと地方を結ぶ大きな環状線には39の駅があり、ヤンゴン・セントラル鉄道駅から3時間で周遊することができます。旅行者たちの多くは、切符の買い方やり方が分かりやすいヤンゴン・セントラル鉄道駅から鉄道の旅を始めます。7番ホームの切符売り場で切符を買うと、駅員が行き先に応じた乗り場を案内してくれます。1枚のチケットでどこの駅でも乗り降り自由で、停車時間はおよそ1分から2分です。
39駅の中で、大きな青果市場や売り子が名物のダニンゴン駅が旅行者にはとても人気です。駅自体が市場のようになっているその特徴的な駅で多くの旅行者は写真を撮ったり、現地のライフスタイルに触れるといった体験をします。何より旅行者たちを驚かせるのは、人々は電車の来ない間は線路上ででも露店を広げており、電車が通るときだけ撤退し、また線路上で商売をする、という他にはなかなか見ない光景です。一見危険なように見えますが、ミャンマーの人たちにとってはそれが日常です。
渋滞に悩まされることが無いばかりか、驚くほど安い運賃でミャンマー最大の都市、ヤンゴンの魅力を全身で感じられる鉄道の旅は、あなたの旅行を特別なものにしてくれるでしょう。
レビュー
一番乗りで口コミ投稿を残しませんか?